食料自給率
 食料自給率というのは、国内の食料消費を国産でどの程度賄えるかという数値です。計算の方法によって、品目別自給率穀物自給率および総合食料自給率の3とおりがあります。さらに穀物自給率は、主食用穀物自給率と飼料用を含む穀物全体の自給率に区別される場合があります。ただし、主食用穀物自給率を発表しているのは日本だけのようです。また、総合食料自給率は、カロリーベースと金額ベース(最近は「生産額ベース」と呼称)に区別される場合があります。

 品目別自給率(重量ベース自給率)は、米、小麦、大豆などのように、消費の対象となる農・畜産物の品目別に、重量ベースで国内消費仕向量に対する国内生産量の割合を百分率(%)で示したものです。農林水産省の「食料需給表」によると、2007年の米の自給率は、94%(主食用は100%)でした。

 主食用穀物自給率は、やはり重量ベースで、主食用穀物(米、小麦、大・裸麦のうち、飼料用を除いたもの)の国内消費仕向量に対する国内生産量の割合を%で示したものです。近年は、60%前後で推移しています。
 飼料を含む穀物全体の自給率(通常、これを単に「穀物自給率」と呼称)は、やはり重量ベースで、穀物(米、小麦、大・裸麦、とうもろこし等で、飼料も含む)の国内消費仕向量に対する国内生産量の割合を%で示したものです。穀物の重量は、精度の高いデータが比較的に得られやすいことから、国際的にはこの自給率が最も広く使われています。近年の日本の穀物自給率は、28%前後で推移しており、主食用穀物自給率の1/2以下であることが分かります。このことは、飼料用穀物の輸入量がいかに多いかを示しています。

 総合食料自給率のうち、「カロリーベース総合食料自給率」は、品目ごとに1人1日当たり供給純食料を熱量(kcal)に換算し、供給された全品目についての換算値を合計して国民1人1日当たりの供給熱量とします。一方、品目ごとの供給熱量に品目ごとの供給熱量自給率を乗じて国民1人1日当たりの国産熱量を求めます。そのようにして求めた国民1人1日当たりの供給熱量に対する国民1人1日当たりの国産熱量の割合を%で示したのがカロリーベースの食料自給率ということになります。これは、1996年以降10年連続して40%で推移し、2006年にはついに39%に低下しましたが、2007年には40%に回復しています。
 「生産額ベース総合食料自給率」は、食料の国内消費仕向額に対する食料の国内生産額の割合を%で示したものです。近年は、70%前後で推移しています。
 なお、畜産物のカロリーベースの自給率の計算は、飼料の自給率を含めた計算をする必要があります。そのため、品目別自給率が高くても、カロリーベースに換算すると非常に低くなってしまう場合があります。例えば、2003年度の鶏卵の品目別自給率が96%と高いにもかかわらず、採卵鶏に対する飼料自給率が9.7%と低いために、カロリーベースの自給率としては9%という非常に低い水準にしかならない点に注意する必要があります。確かに、鶏卵の2003年度消費仕向量の96%は国内で生産されたものですが、90.3%に及ぶ飼料の輸入がなければ、鶏卵の生産はもとより鶏を飼うことすら十分にはできない状況にあります。このことは、飼料用を除いた「主食用穀物自給率」が比較的高いからといって安心はできないし、日本においては、飼料生産がいかに重要な課題であるかを示唆していると思われます。

※もっと詳しく知りたい方は、農林水産省の「食料自給率の部屋」をごらん下さい。