食料消費構造(食生活)の変化
 一般に、食料消費パターンには、所得の増大、都市化、核家族化、女性の社会進出の拡大などの社会環境の変化により、一定の時間差で以下の4つの段階を変化していく法則性がみられるといわれています。

第一段階:主食としての雑穀・いも類の急速な減少と米・小麦類の増加がみられる。
第二段階:主食消費が減少し、肉、卵、砂糖、野菜、果物、食用油など副食比率が増加する。
第三段階:副食のなかでも動物性タンパク食品の比率が上昇する。アルコール飲料なども増加する。
第四段階:食の簡便化が浸透し、ファッション化も進む。特に、レトルト(調理済み)食品などの中食と外食の発展から、調理時間をできるだけ削減した画一的な食品が普及する。

 我が国は、1950年代に第一段階、1950〜1960年代初期に第二段階を通過しました。米の消費は、1961年の1人当たり年160kgをピークに減少を続け、供給熱量の構成比率でみると、1980年には1960年の70%に、2006年には54%まで落ち込んでいます。2015年にはさらに下がって48%になっています。逆に、畜産物の消費は、1980年には1960年の362%に、2006年には464%にそれぞれ増加し、それ以降も増加傾向にあります。油脂類も畜産物と同様の増加を示していましたが、2015年は2006年に比べてやや減少しています。さらに1980年代には第四段階である「食の簡便化」が進みました。

 このような食料消費構造の変化は、いわゆる「食の欧米化」いわれるもので、日本のみならず中国、インド等の経済発展を遂げつつある国々においても起こりつつあり、このことが今後の食料の国際市場に大きな影響を及ぼすことになりそうです。どこまで欧米化するかについては、食料需要の大半を海外に依存するわが国にとって、目を離すことのできない重要関心事です。