食事バランスガイド
 日本では近年、米の消費が減少し、畜産物と油脂類の摂取が増大する、いわゆる「食の欧米化」による栄養バランスの崩れにより、生活習慣病や成人病の増加が問題になっています。また、このことが食料自給率の低下の大きな要因の1つとなっています。そこで政府は、米や魚介類の摂取を中心とする「日本型食生活の回復」を狙いとして、1983年3月には「私達の望ましい食生活−日本型食生活のあり方を求めて」と題する8項目の提言を行いました(日本型食生活参照)。さらに、1990年11月には7項目からなる「新たな食文化の形成に向けて−’90年代の食卓への提案−」が出されました(日本型食生活参照)。

 しかし、そのような提言にも拘わらず、「食の欧米化」はその後も止まることがなく、新たな要因として、食の外部化の進展による輸入農産物への依存の増大、供給熱量(食料として供給された食物の総カロリー量)と摂取熱量(実際に摂取された食物の総カロリー量)の乖離幅の拡大(食べ残し・廃棄量の増大)による食料資源の浪費等の諸問題が顕在化し、海外からの食料輸入は増え続けています。また、生活習慣病や成人病の増加傾向も続いています。
 そこで、農林水産省は、2000年3月、当時の厚生省、文部省と共同して下記の10項目からなる「食生活指針」を策定し、閣議決定しました。

(1)食事を楽しみましょう。
(2)1日の食事のリズムから、健やかな生活リズムを。
(3)主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。
(4)ごはんなどの穀類をしっかりと。
(5)野菜・果物、牛乳・乳製品、豆類、魚なども組み合わせて。
(6)食塩や脂肪は控えめに。
(7)適正体重を知り、日々の活動に見合った食事量を。
(8)食文化や地域の産物を活かし、ときには新しい料理も。
(9)調理や保存を上手にして無駄や廃棄を少なく。
(10)自分の食生活を見直してみましょう。

 政府は、今後、「食生活指針」の普及・定着に向けて、厚生労働省、文部科学省等と連携し、全国的な普及・啓発活動や草の根レベルでの取り組みの支援を充実し、国民的運動を展開したいとしています。

 その一環として、「食事バランスガイド」が策定されています。この「食事バランスガイド」は、望ましい食生活についてのメッセージを示した上記の「食生活指針」を具体的な行動に結びつけるものとして、男女別・年齢別に、1日に「何を」「どれだけ」食べたらよいかの目安を分かりやすくイラストで示したもので、厚生労働省と農林水産省により2005年6月に策定されました。「食事バランスガイド」チェックするための「毎日の食生活チェックブック」も用意されており、ダウンロードできるようになっています。