ポジティブリスト制度
  「BSE問題に関する調査検討委員会報告書」(平成14年4月)の提言をふまえて、平成15年5月に食品安全基本法が制定されました。それに伴い食品衛生法が抜本的に改正され、食品中に残留する農薬、飼料添加物及び動物用医薬品(これらを「農薬等」という)について、一定の量を超えて農薬等が残留する食品の販売等を原則禁止する新しい制度(ポジティブリスト制度)が施行されることとなりました。

 ポジティブリスト制度には「残留基準」「一律基準」「対象外物質」の3つの大きな柱があります。従来の食品衛生法の規制(ネガティブリスト制度)では、食品から残留基準が未設定の農薬等が検出されても、その食品の販売を禁止するなどの措置が行なえませんでした。しかし、新しい制度では、原則、すべての農薬等について「残留基準」あるいは「一律基準」が設定され、その基準を超えて残留した場合、その食品の販売等が禁止されます。

 ポジティブリスト制度では、「残留基準」の設定対象となる農薬等が大幅に拡大されました。従来の食品衛生法では残留基準が設定されている農薬等は283でしたが、新しい制度では国際的な基準や欧米等の基準を基に、799の農薬等に基準が設定されています。
 また、「残留基準」が 定められていない農薬等が一定水準をを超えて食品に残留する場合は、その食品の販売等が規制されることとなりました。その水準を 「一律基準」といい、0.01ppm(食品100kg中に農薬が1mg)と定められました。

 一方、「対象外物質」も定められています。それは、農産物を作るときに、農薬等として使用したものが食品に残留しても、人の健康を損なう恐れのない物質で、ポジティブリスト制度の対象にはなりません。重曹、アミノ酸、亜鉛、クエン酸など65物質が定められています。

 なお、ポジティブリスト制度は、食品中の農薬の分析を義務付けるものではありません。 従来どおり、農産物等の生産段階においては適正な使用や管理を行うことが重要であり、 食品の加工段階では原材料への使用履歴に関する情報を集め、適切に管理されたものを使用することが重要です。

※さらに詳細についてお知りになりたい方は、厚生労働省作成の「分野別施策[食品中の残留農薬等](食品中の残留農薬・動物用医薬品・飼料添加物)をごらんください。